[[トップ|FrontPage]] > [[用語集]] > '''ラーメン''' !!!ラーメン (拉麺、柳麺):名詞 !!!概要 だし汁に茹でた中華麺を入れた日本の料理の一ジャンル。日本では「国民食」とよばれるほど広く親しまれ、日本以外の地域でも知名度の高い日本食である。中華そばや支那そばなどの別名でも呼ばれる。 鹹水(かんすい)を使用した中華麺を用いるため、一般的な鹹水を使わない小麦麺、日本のうどんや中国の麺料理とは異なるラーメン独特の食感がある。 !!起源・語源 ラーメンの起源は中国、または日本の中華料理とされている。ただし現在の日本のラーメンは、中国の麺料理文化とは異なる日本独自の食文化に発展している。 ラーメンの語源は、中国北部の麺の一種、拉面(ラーミェン)というのが定説である。中国語の「拉」とは「引っ張る」という意味で、拉面は蕎麦やうどんのように切り分けて長細い形にするのではなく、手で引っ張り麺の形を形成する技法で作られる。ただしこのラーメンの拉面語源説には異説もある。一部の辞典などによっては老麺という漢字表記も見られるため、それが本来の表記とされることもある。老麺(ラオミェン)とは保存した古い発酵生地を酵母種として使用する中国伝統技法で、マントウや包子を作る際に用いる。中華麺はマントウのように酵母で膨らませる必要がないため、老麺法はラーメンに用いる技法ではない。現代ではラーメンは通常カタカナで表記される。東アジア圏では日本拉面、日式拉麺と呼ばれている。 !!!麺・スープ・具 !!麺 生麺小麦粉を主とした鹹水(かんすい)の入った麺を使用し、麺の製法は伸ばしたり削ったりではなく刃物で切って細長い麺とする。専門店の多くは自家製麺を打つが、チェーン店では製麺会社から仕入れることが多い。ラーメン店の細かいオーダーを聞く体制ができた製麺会社も多く、自家製ではなくても店独自の麺を使うこともできる。無カンスイ麺、蕎麦粉を混ぜた麺、唐辛子を混ぜ込んだ麺などもある。 量産されている麺の中には添加物としてプロピレングリコールを使用して食感を向上させているケースが目立つ。 !!スープ ラーメンのスープは基本的にタレを出汁で割ることによって完成する(出汁をさしてスープと呼ぶこともあるが、混同を避けるため出汁と記述する)。タレの種類によって醤油・塩・味噌の3種類を提供するラーメン屋が多かったが、近年のラーメンブーム以降は1種類のみの店も少なくない。ラーメンのスープには、材料から引き出されたエキスがたっぷりと含まれ、アミノ酸、核酸、ミネラルなどの栄養分も豊富であるが、麺をすすったときにちょうど良い味になるように塩分が多めの味付けをされているため、健康上は必ずしも飲むのに適していないものが多い。 !!タレ 醤油味・塩味・味噌味といった味の種類を決める、かえしとも呼ばれる調味料。なお味噌の場合はペースト状が多く、塩の場合は粉末の場合もあり必ずしもタレ状ではないこともある。多くの店では1種類の出汁に対して、醤油・塩・味噌といった異なるタレを使うことによって味のバリエーションを作っている。タレと出汁とを分けるのには味のバリエーション以外に、味を一定に保つという重要な意味がある。常に火にかけて煮続けている出汁に直接味付けをしてしまうと、調味料の風味が飛んでしまい味が悪くなり、また煮詰まることで塩分が濃くなってしまう。[[添加剤]]も参照。 !!出汁 様々な素材を煮込んで作られるスープの土台。ラーメンの場合、この出汁のみを指してスープと呼ぶことも多い。出汁は1種類のみでタレの種類によって味のバリエーションを付ける店が多いが、近年はタレの種類に合わせて出汁も数種類とるような店も存在する。鶏ガラ、豚骨、牛骨、鰹節、サバ節、煮干し、あご、昆布、炒り大豆、椎茸、タマネギ、長ネギなどがよく利用される。臭み消しに生姜や大蒜などの香味野菜・香辛料が使われる。店によってはリンゴなどの果物も使われる。 !!油 ラーメンスープの上にクルトン状になった背脂や動物油を浮かべるものも多い。元々旭川や酒田、燕などでは寒冷地のために、せっかく来店した客のために肝心のラーメンスープが冷めないように油膜を作るために入れたものであるが、口当たりの良さと独特のコクと旨味からそれ以外の地域でも多用することが多くなった。 使われる油は鶏油やラード、胡麻油、ラー油、ニンニク油、ネギ油、マー油など。[[ベタ]]も参照。 !!具 叉焼(チャーシュー)とメンマ(支那竹)とネギが比較的定番であり、卵(生卵、ゆで卵、煮卵)、海苔、鳴門巻き(ナルト)、野菜(煮野菜、野菜炒め)なども多く見られる。具はトッピングとして追加するか、もしくは追加される具によって「野菜ラーメン」「ネギラーメン」など別個のメニューとなっている。スープと刻みネギ程度のほとんど具の無いラーメンを素ラーメンと称することもある。 !叉焼(チャーシュー) 本来の焼豚であることは少なく、ほぼ煮豚が使用される。部位はモモ、バラが多い。燻製にしたり、乗せる前に表面を炭火やバーナーで炙って本来の叉焼に似た香ばしさをつけることもある。軟骨の部分を煮込んだ物、薄切りバラ肉の煮込み、豚バラ肉や豚挽肉を使用する店もある。その店の標準より多くトッピングした物はチャーシューメンと呼ばれる。 !卵 ゆで卵が使われることが多いが、生卵を使う地域もある。煮卵の場合、黄身でスープが濁らないように半熟卵を使用することが多い。ゆで卵を醤油に漬けた味玉が多い。燻製にした薫玉(くんたま)を使う店もある。 !ネギ 細かく刻んだり、輪切りにしたり、繊切りにした白ネギや青ネギ、ワケギなどを用いる。白髪ネギを豆板醤やコチュジャンなどで和えた「辛ネギ」などもある。ネギを油で揚げた「焦しネギ」を使うこともあり、この場合は揚げ油も「ネギ油」として風味づけに使われる。 !青物 醤油ラーメンで主流。 ホウレンソウやワカメなど。香りと歯触りを添える。 !鳴門巻き 渦巻き模様の蒲鉾で、彩りを添えるために用いられる。蒲鉾を用いる地域もある。 !海苔 独特の風味が加わる。蕎麦料理に由来する。 !バター 主に味噌ラーメンや塩ラーメンのトッピングとしてよく見られる。 !野菜炒め 味噌ラーメンが主流でモヤシやキャベツ、ニンジンなどがよく使われる。また、モヤシが単独で使用されることもある。 !キクラゲ・紅しょうが・ゴマ 豚骨ラーメンでよく使われる具。トッピング感覚で用いられる。紅生姜の酸味が豚の脂のしつこさをさっぱりさせると言われる。 !高菜 豚骨ラーメンでよく使われる具。高菜は漬け物にした「高菜漬け」を細かく切って油炒めにしたもので、唐辛子を一緒に漬け込んだり、炒める際に唐辛子を加えた「辛子高菜」を用いることが多い。[[ブースト]]も参照。 !ニンニク 刻んだもの、すり下ろしたもの、揚げたものが使われる。 !メンマ(支那竹) 筍を発酵させたもの。 !!!分類 麺と同等以上に重要視されているのが汁(スープ)で、汁には極めて多くの種類があるため、ラーメンを汁により分類することが一般的である。 自由に発展した料理であるため、多様なバリエーションが存在し、広義ではラーメン類とされることもある。狭義ではスープに浸かった通常のラーメンとは区別されるものもある。 !!タレの種類による分類 ::醤油ラーメン :::醤油味のスープのラーメン。広く主流となるオーソドックスな味で、鶏がらや野菜をベースとしたあっさりから、豚骨をベースのこってりとした物まで幅が広い。魚介系の出汁や、醤油を味醂などと合わせて煮る事もあり、地域性を反映している。 ::塩ラーメン :::塩によって味付けされたスープのラーメン。他の味に比べて、スープ材料の味がストレートに出る。実際の所、他のラーメンと比較して塩が多く入っているわけではない。あっさりした味付けの清湯(透き通ったスープ)あるいは白湯仕立てにする分、塩の味が引き出されるためである。 ::味噌ラーメン :::味噌によって味付けされたスープのラーメン。昭和30年代の札幌で誕生した比較的新しいラーメン。もともと味噌は具のバリエーションのひとつとして登場し、それをいつしかスープに溶かして出すようになった。こってりとした物が多い。 !!出汁の種類による分類 ::豚骨ラーメン :::豚骨を使用し、白濁したスープが特徴。白に茶色が掛かった物もある。戦前、福岡県久留米のあるラーメン屋で、豚骨の煮込みの時間と強さを間違えて、強火で長く煮込みすぎたのが発祥と言われる。久留米や熊本では濃厚だが、博多はそれを濾すためあっさりしている。東京、横浜、和歌山、岡山、広島などでは醤油と合わせたもの(豚骨醤油)もあり、大阪のラーメンもその系統に近い。 :::なお、福岡で食されるラーメンの多くがこれである。 ::豚骨醤油ラーメン :::白濁した豚骨スープに醤油のタレを加えたもの。上記の醤油ラーメン・豚骨ラーメンのどちらにも分類可能ではあるが別個のジャンルとされることが多い。 ::魚介系ラーメン :::鰹節を始めとした魚介類をベースとしたラーメン。 !!その他 ::タンメン :::鶏ガラスープをベースとした、野菜炒めをトッピングしたラーメンではあるが、塩ダレをスープで割る日本の塩ラーメンとは全く別もの。また中国の湯麺(タンメン)とも異なる。 ::インスタントラーメン :::湯を注ぐ、もしくは湯で煮るだけで食べられるインスタント食品。 !!!関連項目 *[[元祖長浜屋]] *[[長浜将軍]] *[[ナマ]] *[[バリ]] *[[ベタ]] ---- 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』